経済産業省と文部科学省は、福島第1原発事故の1ヵ月後、これまでの原発立地自治体への交付金の規則を、①原発の新たな設置と増設への交付額を増やす。②既設の原発では原発の規模から発電実績に応じて交付額を決める方式に全面的に変更しました。
未曾有の大震災に国民が心を痛め、更に原発事故の収束の見通しが全く立たず、全世界の人々が不安と恐怖におののいている時期に、国は原発の新増設や運転継続を後押しする新たな策を考えていたことになります。しかも、チェルノブイリと同じ、レベル7に引き上げられた翌日に交付金の規則を変えたのですから、原発温存への執念は恐ろしいほどです。
新たな規則は、既にある原発が定期検査などで運転を停止する期間をできるだけ短縮させ、財政難の自治体が原発に依存せざるを得ない状況を加速させます。
国は原発事故当初から、国民が求めている自然エネルギーへの転換など、まったく眼中に無いばかりか、震災と放射能汚染の拡大が進む中、原発の維持・発展を優先していたのですから驚きです。
「政治は誰のためにあるのか」震災と原発問題は私たちに問いかけています。
原発新規立地計画のある南相馬市の桜井市長は「今回の原発事故を受け、将来的にも住民を脅かす原発を認めない。交付金を申請しないことで、新規立地に反対する市の立場を明確にできる」と、交付金を辞退し、住民の安全と命を優先する立場を表明しています。
原発マネー 泊原子力発電所が営業運転を開始した1989年から2009年の21年間で、道と地元4町村に支払われた原発マネーの総額は959億円に上り、最も多いのは泊村の546億円で、実に歳入の57%を占めています。
原発マネーに依存し、原子炉の増設を繰り返す様を、福島県前知事の佐藤栄佐久氏は「麻薬中毒者のようだ」と評しました。過疎化の進んだ自治体ほど、巨額の原発マネーに大きく依存せざるを得ない状況が作り上げられ、不安があっても、けっして「NO」と言わせない。
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