シリーズ原発を考える④
未来を選ぶ岐路
原発事故に怯える未来を選ぶのか、どうか?私たちはその選択に迫られています。未熟な技術による原発の危険な実態や莫大にお金がかかる点など、事実を知れば知るほど、できるだけ、すみやかに原発から撤退することが世論からも強く求められています。
同時に、電力不足による社会的リスクや混乱は避けなければなりません。また、地球温暖化を抑止するという人類的課題もあり、安易な火力発電などに置き換えるやり方を取るべきではありません。
そのためにも、自然エネルギーの本格的導入と低エネルギー社会への転換に向けて、私たちのあらゆる知恵と力を総動員し、最大のスピードで取り組むべき共通の課題です。
原発を無くせる理由
世界の流れを見ると、自然エネルギーの発電設備容量の合計は、2010年に3億8100万キロワットとなり、原発の発電容量3億7500万キロワットを追い抜きました。
そして日本は、豊かな自然に恵まれ、自然エネルギーは原発54基分の発電能力の約40倍という大きな可能性を持っています。
日本の総発電量(企業などの自家発電も含む)に占める原子力発電の割合は25.1%(2009年度)です。例えば、5~10年の間に、電力消費量を10%削減し、現在の総発電量の9%程度(大規模水力を除くと1%程度)の自然エネルギーによる電力を2.5倍にできれば、原発による発電量をカバーすることができるのです。私たちが「原発からの撤退」を決断し、国が「原発ゼロ」に向けたプログラムを早急につくることで原発は必ず無くせます。
許容範囲か?
日本は世界でも有数の地震・津波の多発国であり、原発の危険性が指摘されてきました。
しかし、原発利益共同体(政・官・財)は聞く耳を持たず「安全神話」を振りまき、狭い国土に世界一の密度で原発を設置してきました。
福島原発事故では、ひとたび事故が起きれば、人類は放射能を閉じ込める技術も汚染拡大を制御する手段も持ち合わせていないことから、被害は何処まで、いつまで続くのか、全くわからないことが明らかになりました。
しかも、原発の使用済み核燃料(核ゴミ)を安全に処理する技術も無く、核ゴミがたまる一方なのは、まるで「トイレの無いマンション」と同じように致命的な欠陥なのです。
私たち人間社会に、このような他に類のない「異質の危険」をもたらす現在の原発という技術は、いったい社会的に許容できる技術なのか。そのことが正面から問われなければならない問題だと思います。
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