横断歩道を渡って来た美人のお母さんは、子どもをしっかりと抱っこしながら、ためらいなく、私の横に立ちました。子どもは、私の顔を見てニコニコ、お母さんは真剣な眼差しで私を見つめています。
私とお母さんの距離が、あまりにも近かったので、私は「子どもを見せられても身に覚えは無いし、ひとしファンなら笑顔だろうし、クレーム付けるなら、とっくに言ってくるはず」など、話に熱を入れるべきか、控えめにすべきか、期待と不安が交錯しながら「期限をきめて原発から撤退しよう」とマイクで通行人に呼びかけていました。
演説を終えた私は「ありがとうございます」と、複雑かつ想定外の気持ちで、お母さんにお礼を言いました。
すると、お母さんは「なぜ国民は怒らないのか」「どうすれば、原発を無くせるのでしょうか」「北海道でも放射能が計測され、道民の方はどのように感じているのか」など、私に質問してきました。
私は「原発の問題点を知らせ、大きな運動にすることが重要です」と、きっぱり。
しかし見渡すと、親父三人の寂しい署名宣伝行動でした。
そのお母さんと子どもは、福島原発の放射能汚染から逃れ、埼玉県から札幌に来ていたのです。
街頭で離れて演説を聴くのはともかく、演説している者の真横に十五分以上も一緒に立って聴くことは、相当な勇気が必要だと思います。
それだけ原発と放射能汚染の問題を真剣に考え、私たちの政策と運動に期待してくれたのだと思います。
子どもや孫たちを放射能から守りたいと願う人々に対して「これなら変えられる」と、感じさせる大きな運動にしなければなりません。
圧倒的に原発の廃炉を求める全国世論調査の結果や電力会社の株主総会でも「原発から撤退すべき」と、提案する株主も出てくるなど「原発ゼロ」へ向かう機は熟しています。あとは誰が国民の願いを収穫するのかという問題です。
美人でなくても、私のそばに立ってくれるだけでもいい。のぼりやプラカードを持ってくれる。チラシを配布するなど、さらにいい。署名板を持ってくれれば最高。「原発からの撤退署名にご協ください」なんて呼びかけてくれたら超最高。変化をつくる数の力が問われています。毎週金曜日にお待ちしております。
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